CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。
一般外科症例

外鼻孔形成術、軟口蓋切除術

目次



外鼻孔形成術、軟口蓋切除術と短頭種気道症候群について


外鼻孔形成術、軟口蓋切除術はフレンチ・ブルドッグ、ボストンテリア、パグ、チワワ、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルなど「短頭種」に属する犬に行う手術です。短頭種は他の犬種に比べて鼻が極端に短い、頭の形が丸い、両眼が離れいる犬種です。それにより頭部の軟骨形成が不十分になり、鼻・咽頭・気管を含む上部気道に異常が発生する短頭種気道症候群を発症することがあります。短頭種気道症候群では鼻が狭く(外鼻孔狭窄)、軟口蓋が長い(軟口蓋過長)ことにより慢性的な呼吸困難が発生します。慢性的な呼吸困難は他の軟部組織、気管などを二次的に変化させ、呼吸困難をさらに悪化させることがあります。(短頭種気道症候群についての詳細)
短頭種に属する犬では軟口蓋過長は85%以上、外鼻孔狭窄は40%以上の症例で認められます。短頭種気道症候群では症状としていびきや、ぜーぜー・がーがーという呼吸音、運動してもすぐ疲れてしまう、呼吸がしづらい、咳・えずき、舌の色が紫色になる、体温が高くなりやすいなどが挙げられます。そこから嘔吐などの消化器症状、肺炎、失神や虚脱などに進行する場合があります。特にいびきや異常な呼吸音は発生が多く、飼い主様でもよく分かりやすい症状になります。


写真
左:短頭種ではない犬種(トイプードル)の鼻の孔
右:短頭種(ボストンテリア)の鼻の孔


外鼻孔形成術、軟口蓋切除術の目的、時期


外鼻孔形成術、軟口蓋切除術手術の目的は、鼻孔が狭いこと、軟口蓋が長いことによる慢性的な呼吸困難を改善することです。呼吸困難が悪化する前に手術を行うことにより、軟部組織、気管への二次的な変化を予防します。そのため当院では短頭種に属し、いびきなどの症状や肉眼的に鼻孔が狭いことがわかる犬には6ヶ月齢以降で避妊、去勢手術を行う際に同時の実施をお勧めしています。避妊、去勢手術と同時の手術でなくても6ヶ月齢以降であれば手術は可能です。


外鼻孔形成術、軟口蓋切除術を行うにあたる注意点


外鼻孔形成術、軟口蓋切除術は全身麻酔をしての手術になります。他の一般的な全身麻酔での手術と同様、術前に全身状態の評価、その他の持病がないか確認をしてから手術を行います。
 外鼻孔形成術により、術後鼻の穴にわずかな左右差が発生する場合があります。見た目にはほぼ分からない程度が多いですが、よく見比べると分かる場合もあります。
 外鼻孔形成術では抜糸する際、犬が非常に嫌がってしまう時があります。その場合は鎮静処置をして抜糸をすることがあります。縫合に使用する糸は自然と吸収されるため、抜糸はしなくても大きな問題はありませんが糸の周囲の鼻の色が白くなる時があります。
 軟口蓋は柔らかい組織です。軟口蓋切除術後、数ヶ月から数年経過すると切除した部分が呼吸によって再び引き伸ばされ、いびきなどの呼吸症状が再発することがあります。その場合、呼吸症状の程度にもよりますが再手術が必要になることもあります。


外鼻孔形成術、軟口蓋切除術の実際の症例


症例①外鼻孔形成術
術前
術後

症例②軟口蓋切除術
術前
術後