CASES エキゾチックアニマル症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

ウサギの斜頸(エンセファリトゾーン感染症)

目次


ウサギのエンセファリトゾーン感染症について


頭の傾きは斜頸といい、中枢神経症状の一つです。

ウサギさんが斜頸の症状が出ているときに考えられる疾患は
① エンセファリトゾーン感染症(寄生虫)
② 中耳炎や外耳炎
③ 脳炎や脳腫瘍など脳の疾患
④ 外傷性
などが挙げられます。

この中でも中枢神経症状を起こしたうさぎの中で、①のエンセファリトゾーン感染症が60−70%と一番多いといわれています。

エンセファリトゾーン感染症(寄生虫:微胞子虫)は、ウサギだけではなく犬や猫、マウス、牛、羊、豚などさまざまな哺乳動物に感染する可能性があり、多くは不顕性感染しているといわれています。

この中で特にウサギは臨床症状が発現しやすく、
・神経症状(斜頸、眼振、旋回、ふらつき、運動失調、てんかん発作など)
急性腎障害
・眼の症状(白内障、ぶどう膜炎など)
が出る可能性があります。
右側に斜頸しているウサギさんです。
エンセファリトゾーンは感染ウサギの腎臓から排尿と同時に環境中に排出され、経口感染によって伝播します。
感染したら、血流によって広がり、腎臓、肝臓、肺、心臓、次に脳脊髄神経で増殖します。
また、親ウサギが感染を起こしていたら、胎盤を通じて胎児へも垂直感染をおこすことも報告されています。

エンセファリトゾーン感染症の確定診断は難しく、除外診断や診断的治療を行っていくことが多いです。




ウサギのエンセファリトゾーン感染症の治療


臨床症状の発現は、病原体そのものの存在だけが原因ではなく、脳や腎臓、各臓器における炎症反応、特に肉芽腫性炎に起因します。したがって治療は, エンセファリトゾーンの増殖の抑制、炎症反応の沈静化、症状の緩和および二次感染の抑制を組み合わせて行っていきます。

・ エンセファリトゾーンの増殖を抑制する薬剤として、もっとも有効とされているのはフェンベンダゾール(ベンズイミダゾール系薬剤)です。
・ 二次感染の予防および中耳炎や外耳炎の可能性も完全否定できない場合は、抗生物質も同時に投与することがあります。
・ 反応が乏しい場合は抗炎症薬として、コルチコステロイドの全身投与を併用する場合もあります。
・ また、食欲が低下するなら、強制給餌や消化管運動機能改善薬など、症状に伴い、適宜治療していきます。
この病気の怖いところは、治療に反応し、臨床症状が消失してくれたとしても、病原体が身体の中から完全にいなくなっているわけではないため、その後に再発する可能性があるところです。
また臨床症状が軽度であるときに治療を開始できれば、良好に回復することが多いですが、臨床症状が重度(重度の斜頸やローリング、てんかん発作)になってしまってからだと、後遺症が残ってしまう場合もあります。

ウサギさんではまれな病気ではなく、早期の治療開始がとても重要になってくるため、「頭が傾いている」「眼が揺れている」など、何かおかしいことがありましたら、相談いただければと思います。


執筆担当:獣医師 岩崎 真優子