CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

腎盂腎炎

腎臓とは血液を材料に尿を作る臓器で、体の腰あたりに2つあります。
作られた尿は膀胱で溜められて、ある程度溜まると尿意を感じて排出されます。

腎盂腎炎とは腎臓が細菌感染により炎症を起こしている状態です。
感染経路は血流を介して腎臓に流れてくる場合と、尿道・膀胱を通って腎臓まで上がってくる2種類がありますが、ほとんどが尿道・膀胱からの感染です。
腎臓への細菌感染の経路は尿道・膀胱を通って腎臓まで上がってくる上行感染と、血流を介して腎臓までいく血行感染があります。腎臓の感染のほとんどが上行感染になります。

健康な腎臓では細菌が繁殖しにくい濃い尿が作られます。
また膀胱に溜まった尿をまとめて出すことで尿道を洗い流し細菌が感染しにくい環境になっています。
慢性腎臓病で尿が薄くなったり、腰が悪くなることでまとまった排尿ができず常に尿道が濡れているような症例では膀胱に細菌感染を起こしやすくなります。
膀胱に細菌感染を起こしただけでは無症状、または膀胱炎の症状を示すのみで全身的な状態の悪化はありません。
しかし細菌が膀胱から尿管を通って腎臓まで上がると腎盂腎炎を引き起こします。
膀胱への感染が成立しないように通常はバリア機能がいくつも備わっています。
さまざまな要因でバリア機能が破綻すると膀胱への細菌感染が成立してしまいます。

腎盂腎炎の症状は様々です。
無症状のこともあれば元気消失、食欲不振、発熱、血尿、腎痛(背中の痛み、抱っこや体に触ることを嫌がる、震え)などの症状を示すことがあります。
腎盂腎炎を慢性的に繰り返すと徐々に腎機能が低下し、慢性腎臓病に移行します。
また腎臓の細菌が血液中に移行して敗血症になることや、両方の腎臓が同時に重度の障害を受けて急性腎障害に移行することもあります。
慢性腎臓病は不可逆性の病態であること、敗血症や急性腎障害のいずれも命に関わる病態であることから腎盂腎炎は早期に適切な治療を行う必要があります。
治療は抗生剤の投与が基本となり、腎機能や全身状態により追加の治療が必要になることも少なくありません。


執筆担当:獣医師 三浦 篤史
東京都中野区江古田4-37-4 TEL:03-5942-5855
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