CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

猫の甲状腺機能亢進症

目次


猫の甲状腺機能亢進症について


甲状腺とは、首にある蝶の様な形をした臓器です。甲状腺ホルモンを分泌しており、新陳代謝をコントロールしています。
この甲状腺が腫瘍化、腫大化することで甲状腺ホルモンの分泌が過剰になってしまう病気が甲状腺機能亢進症です。
国によって原因となる疾患の割合が異なりますが、日本では片側性の甲状腺腫の割合が多く、過形成、甲状腺癌の割合は少ないです。
甲状腺機能亢進症は猫で最も多い内分泌疾患で、7歳以上に多く認められます。



症状


甲状腺ホルモンが過剰になると新陳代謝が過剰に亢進し、消費エネルギーが増加するため、体重が減少していきます。
他の症状として、食欲亢進/減退、活動性の亢進/減退、嘔吐、脱毛、毛並みの粗剛等多岐にわたり特徴的な症状に欠けます。
そのため日常生活では気付くことが難しい病気です。
見た目には元気なことも多いため、気づかないうちに体重が減少していることも珍しくありません。
また甲状腺機能亢進症は高血圧を示し、心臓、腎臓、眼、脳神経などの臓器に障害を与えることがあります。
特に治療せず長期間経過している症例では心臓や腎臓が末期の症状を示していることもあります。
そのため、定期的な健康診断が重要になってきます。



診断


甲状腺機能亢進症が疑われた場合、血液中の甲状腺ホルモンの量(T4、fT4)を測定することで診断することができます。
この数値が通常より明らかに高値が示された場合、甲状腺機能亢進症であると診断することができます。
しかし甲状腺ホルモンは他の全身性疾患がある場合は、甲状腺機能亢進症であっても血中T4の値が高値を取らないことがあるので注意が必要です(euthyroid sick syndrome)。



治療


治療法には、甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を投与する内科療法、甲状腺を摘出する外科療法、ヨウ素制限食による食事療法があります。
このうち最も一般的な治療法は内科療法です。
生涯薬を飲み続ける必要がありますが、簡便で麻酔や入院が必要なく猫への負担も少ないです。
外科療法は腫大している甲状腺に適応することができ、根治させることができます。
しかし甲状腺ホルモンの低下など手術の合併症も少なくありません。
ヨウ素制限食療法は、ご飯を変えるだけなので簡便ですが、効果が出るまで時間がかかります。
また食事制限が厳しく、他のおやつや食事、ミルク等も一切与えることができなくなるため猫ちゃんの好みによっては難しいことも多いです。
当院では治療の即効性、有効性、安全面から、第一選択として内科療法が選択されることが多いです。
しかし内科治療で管理ができない症例、薬の副作用が強く出てしまう症例は外科的な治療が必要となります。

治療を適切に行うことで、症状を改善させ、体重も元の体重に近づけることができます。
しかし、発症してから経過が長い場合では筋肉量を元のレベルまで戻すことが難しいとも言われています。そのため、飼い主様の日常の中で感じるわずかな違和感や体つきの変化が早期発見への糸口になります。
些細な違和感や変化でも気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。


執筆担当:獣医師 茂木 遼介
東京都中野区江古田4-37-4 TEL:03-5942-5855
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