CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

犬と猫の糖尿病

犬と猫の糖尿病について紹介します。

動物の体の中では、インスリンというホルモンにより食物から得た糖は細胞内に取り込まれ、血液中の糖(血糖値)は一定に保たれています
しかし、このインスリンの量が少ないもしくは、うまく働くことができない(インスリン抵抗性)と血糖値が下がらず尿中に糖が排出される糖尿病を発症します。さらに重症化すると体の中でエネルギー代謝がうまく出来なくなってしまい、尿中にケトンという物質が排出され、糖尿病性ケトアシドーシスという病態に進行することがあります。

糖尿病性ケトアシドーシスでは食欲不振、嘔吐、下痢、脱水により致命的な状況に陥る場合があります。糖尿病性ケトアシドーシス以外に、糖尿病の初期症状として多飲多尿や体重減少、後肢麻痺により糖尿病が見つかることをあります。


インスリンは膵臓で作られていますが、このインスリンの作られる量が減ってしまうことを
1型糖尿病
と言います。人間の小児に発症する糖尿病や犬の糖尿病の多くはこの1型糖尿病です

それに対して猫では、インスリン抵抗性が上がってしまう
2型糖尿病
の発症が多く、肥満、感染症、膵炎や子宮蓄膿症による炎症性疾患や高用量のステロイドの長期投与が原因となります。

どちらの場合にも治療には、インスリンの継続的な投与が必要になります。
糖尿病性ケトアシドーシスでは入院下でインスリンを点滴により持続投与し、尿中にケトンが排出されなくなるまで継続します。その際、インスリンにより低血糖や低カリウム血症も同時に発生するため、点滴でバランスを取りながら治療します。重症度によって数日~10日前後の入院が必要になります。
糖尿病の治療では数日の入院や通院により定時的な血糖値のモニタリングを行いながら、最適なインスリンの種類、回数、量を決定します。退院後も自宅で1日に1~2回のインスリンの注射を継続します。
血糖値が安定してからも数週間から一ヶ月に一回程度の体重測定、脱水の有無、血液検査により経過観察を行います。治療の開始期や猫では、インスリンの効果を安定させるために点滴が必要になることも多く、インスリンの注射と併せて自宅や通院での皮下点滴を週に数回行う場合もあります。
また血糖値を安定させるためには食事療法も必要になるため、療法食への変更を推奨しています。
(上)インスリン投与のための注射器(下)使用されるインスリンの一部

糖尿病性ケトアシドーシスになってしまうと、わんちゃん、ねこちゃんは命の危険を伴う状況になってしまいます。自宅での体重測定や飲水量のチェック、病院での健康診断などで糖尿病を初期症状のうちに発見できると負担を少なく治療を始めることができます。
最近、食べているのに痩せてきた、よく水を飲む、おしっこに行く回数が多いなど、気になる症状があれば、中野区の江古田の森ペットクリニックまでご相談ください。 年間を通して、わんちゃん、ねこちゃんの健康診断も実施しています。
執筆担当:獣医師 牧田 裕里子
東京都中野区江古田4-37-4 TEL:03-5942-5855
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