CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

猫の多発性嚢胞腎

猫の多発性嚢胞腎を紹介します。

腎臓とは尿を作る臓器で、左右一対腰あたりに位置します。
通常は皮質・髄質・腎盂の3層からなっています
<腎臓は腰の辺りに左右1対ある>
<腎臓は外側から皮質・髄質・腎盂となっている>
多発性嚢胞腎は猫の遺伝性疾患で、両側の腎臓に嚢胞がたくさんできてしまう病気です。
嚢胞は徐々に大きくなり、正常な腎臓の組織を圧迫するため腎臓の機能が低下してしまいます。
<正常な腎臓の超音波画像>
<多発性嚢胞腎の超音波画像>
この病気は主にペルシャ猫とその近交系の長毛種(ミヌエットなど)に見られますが、近年ではアメリカンショートヘアや日本猫にも見られると報告されています。

1歳未満で複数の嚢胞が見つかる症例もいれば、ある程度成長してから見つかる症例もいて、その期間には個体差があります。
<ペルシャ猫>
嚢胞があるだけでは特に症状は示しませんが、腎臓の機能が低下した場合慢性腎臓病と同じ症状を示します。
具体的には食欲の低下、多飲多尿、血尿などで、尿路感染も起こしやすいです。また重度に嚢胞が大きくなった場合、お腹が膨らんでくることもあります。

治療は多発性嚢胞腎の根本治療と慢性腎臓病の治療になります。
しかし猫において多発性嚢胞腎の根本治療はまだ研究段階で一般的な治療薬は開発されていません。

この病気は不可逆性の病気なので、少しでも早く見つけ、必要に応じて慢性腎臓病の治療を行い、進行を遅くすることが重要です。
血液検査だけでは見つけることができないので、健康診断ではレントゲン検査や超音波検査、尿検査も同時に行うことが大切です。

執筆担当:獣医師 三浦 篤史
東京都中野区江古田4-37-4 TEL:03-5942-5855
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