CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

犬の熱中症

目次


熱中症について


熱中症とは高温多湿環境下で高体温や脱水に陥ってしまうことによって生じる疾患です。
犬では全身が毛皮に覆われ、汗をかくこともできず、地面(特にアスファルト)に体が近いことから人よりも熱中症になりやすいと言われています。
高体温や脱水は様々な疾患につながり、多臓器不全に陥ります。
特に脳や血液や腎臓などへの影響は大きく、けいれん、血栓性疾患、急性腎障害の発症が多いとされています。



熱中症の実際の症例


今回ご紹介する症例は高体温、呼吸促迫で来院され、熱中症と診断し、救命したフレンチブルドッグの症例です。
症例はフレンチブルドッグ、去勢オス、5歳、来院時体温は43.0℃(犬の平熱は37.0〜39.2℃)で意識混濁、けいれんが認められていました。
すぐに血管確保し、抗けいれん薬の投与、静脈内点滴、扇風機や濡れタオルを用いた体表冷却処置を開始しました。
来院から2時間後、積極的な冷却処置により体温は39.9℃まで低下したため、室温を下げた集中治療室で点滴治療を継続することとなりました。
その後は次第に体温は低下し、平熱まで戻っていきました。
ところが、来院から8時間後、大量の血便をし、血液検査にて止血の機能を有する血小板数が5万に低下している(犬の血小板数の正常値は20万)ことが発覚しました。
体に暑熱反応により微小な血栓が多発し、血小板数が低下していく播種性血管内凝固が発症したことが疑われたため、輸血を開始しました。
輸血開始後、次第に意識は清明となり、血液検査は良化していきましたが、退院するまでに1週間の入院期間を要しました。
熱中症は人の医療でも馴染み深く、夏になると必ず話題にあがります。
そのため、その危険性は軽視されがちですが、犬は人よりも熱中症になりやすいとされ、多くの対策を講じる必要があります。
車などの暑熱環境に放置しない、水分補給をこまめにする、体を冷やすような熱中症対策グッズを利用するなど、さまざまな方法がありますので、気になる方はいつでもご相談ください。


執筆担当:獣医師 陶山雄一郎